香典について

香典とは、葬儀や法要に参列する際に、故人やご遺族へお悔やみの気持ちを表すために包む金品です。不祝儀袋に現金を包み、受付でお渡しします。

お札の入れ方

  • 新札は避ける
    あらかじめ用意していた印象を与えるため、新札は不適切とされています。新札しかない場合は、一度折り目をつけてから使用します。

  • 人物の向き
    お札は裏向きで、肖像の顔を下にして揃えるのが一般的です。

  • 枚数
    奇数(1枚・3枚など)が基本で、偶数は避ける風習があります。

表書きと墨の使い方

  • 仏式
    「御霊前」「御香典」を用い、浄土真宗は「御仏前」とします。墨は薄墨が正式ですが、黒墨も広く受け入れられています。

  • 神式
    「御玉串料」「御榊料」など。薄墨で書くのが一般的です。

  • キリスト教式
    「御花料」「献花料」などを用い、墨は黒で問題ありません。

香典金額の目安(全国的な相場)

金額は地域や関係性によって変わりますが、一般的な目安は以下のとおりです。

故人との関係 金額の目安 備考
両親 5万~10万円 宗派や地域で高めになる場合も
兄弟姉妹 3万~5万円 既婚・未婚で差が出る場合あり
祖父母 1万~3万円 孫の立場により幅がある
おじ・おば 1万~3万円 親戚付き合いの深さで調整
職場関係(上司・同僚) 5千円~1万円 複数人でまとめる場合も多い
友人・知人 5千円~1万円 学生は3千円程度も一般的
近隣・町内 3千円~5千円 地域の慣習に従うのが安心

稲生川灯ろう流し

稲生川灯ろう流し ― 十和田の夏を彩る祈りの光景

お盆の終わりを告げる夜、十和田市の稲生川(第一西裏橋付近)では、無数の灯ろうが川面を流れる幻想的な光景が広がります。
「稲生川灯ろう流し」は、ご先祖様や亡き方の霊をお送りするとともに、家内安全・商売繁盛・合格祈願など、さまざまな願いを灯ろうに託して流す、十和田の夏の風物詩です。

この行事は、かつて十和田市の夏まつりの一環として、お盆の時期に毎年行われていました。灯ろうは、火をともすことで故人やご先祖様の霊が迷わず帰れるよう導く意味を持ちます。1973年、稲生川整備工事のため一時中断されましたが、2008年に稲生川上水150年を記念して36年ぶりに復活。以来、再び地域の恒例行事として定着しました。

参加者は、紙灯ろうや船型灯ろうに故人の名前やメッセージ、願い事を書き入れます。灯ろうが川面に映える光とともに、ゆっくりと流れていく様子は、祈りと感謝の気持ちが水の流れに乗って遠くへ運ばれていくようです。

灯ろう流しは、宗教や宗派を問わず誰でも参加できる開かれた供養行事です。先祖供養の意味だけでなく、自然や水の恵みに感謝する気持ち、そして地域の歴史を次世代に伝える役割も果たしています。
稲生川は、十和田の暮らしや発展に欠かせない存在でした。その恵みを守り、支えてきた新渡戸傳翁・十次郎・七郎三代の功績をしのびながら、この行事は続けられています。

お盆は、ご先祖様や大切な方を迎え、感謝を伝える期間。灯ろう流しは、その締めくくりとして心を落ち着け、想いを送り届ける大切なひとときです。
ご家族や友人と一緒に灯ろうを流し、川面に広がる光景を眺めながら、改めて故人とのつながりや地域の絆を感じてみてはいかがでしょうか。